Works in Progress: アントロポゾフィー解剖学(17)2006年02月19日 05:15

3.3.1.  体幹の形態

胸郭は体幹の中でも大きくて特徴的な部分を成している。胸郭の形状は一方では頭蓋の、他方では長骨の形状を組み合わせたものと見なすことができる。頭蓋の側には肋骨の最初の一対があり、脳頭蓋の形状と密接な関連を示している。上位の肋骨は長骨との関係がより深い下位肋骨と比べると扁平で幅が広い。また上位肋骨はほぼ水平な位置にある。

人間の外形を決定する要素の中でも鎖骨には両形式の骨化が見られる。遠位部では結合織内骨化が起こり、これは脳頭蓋を思わせる。近位では軟骨内骨化が見られ、これは四肢の状況を予告している。

胸郭頂部の形は壁側胸膜に続いている。第一肋骨よりも上に突出している壁側胸膜の部分は「胸膜頂」と呼ばれる。球状の表面を形作る傾向はこの語に明瞭に表われており、頭蓋の形状を特徴づける形態学的傾向がさらに強調されたものである。

胸郭の形の発達には脊椎と胸骨が寄与している。胸郭の頭側部において関節の動きが制限されているのは驚くべきことである。肋椎関節と胸肋関節はともに硬直性である。結合織と軟骨から成る関節の構成要素もーその形状によってーこの運動制限に関与している。ここでもまた頭蓋骨の原動力と「運動制限」との関係を見ることができる。

胸郭下部および下位肋骨に現れているのは正反対の原動力である。頭側から尾側に向かうにつれて可動性がますます大きくなり、胸骨に対する可動域が増大する。遊離肋骨は脊椎から自由にぶら下がっていて、相互に、あるいは胸骨に対して軟骨性の結合を有していない。運動の可能性は相対的に大であり、ここでは肋椎関節が必要な動きを許容している。

下位肋骨の空間内におけるほぼ垂直な位置と放射状あるいはほぼ管状の形は長骨との類似性を完璧なものにしている。

→「頭側において胸郭は丸みを帯びたアーチをなして閉じており、尾側ではより放射状に「開いて」いる。」

Works in Progress: アントロポゾフィー解剖学(18)2006年02月19日 15:46

3.3.2. 胸郭の律動的構造:反復と変形

12対の肋骨全体について相互の関係を見渡すと、そこに真に連続した変形が現れてくる。これはすなわち、肋骨の形状や空間における位置、そして頭側から尾側へ向かうにつれ増大する可動性の中に変形が明示されているということである(図3.1.4)。

図3.14. 肋骨の変形のあらまし(Vogel による)