アントロポゾフィー胎生学(62)2011年04月04日 16:53

7章 発生における4つのプロセスの特徴
様々な胎生学的相の動的な特性

7.1 はじめに

我々は本書の序文において、
「我々はふたつの目標のために努力しました。第一に、形態学における「代替的枠組み」を示すこと、そして第二に、形態学における動的な性質を特徴付ける代替的枠組みが形態学的事実の新たな解釈をもたらすことを示すことです。」と述べました。
この章ではこれらの動的な特質について、より詳細に論じます。
ここで我々が明らかにしようとしているのは、動的な観点によって胚の発生における多くの事実がひとつの動的なプロセスに属していることを理解する可能性が開けてくるということです。
これらの動的なプロセスは、特定の期間内に作用します。
この特定の期間において、胎児はその発生の特別な相を実現するのです。
人間の胎生学の初期発生では4つの特徴的な相が示され、それぞれ発生の第1、2、3、および4週の初め頃に始まります(第3,4,5,6章を参照のこと)。
各相は、特別な形態学的および生理的プロセスの結果です。
章3,4,5および6章で述べてきた形態学的な発生について、ここではゲーテ的な観点から再び検討を加えます。
現象学者Louis Bolkは、「マクロスコープ」を用いるよう助言してくれました。
その際に彼は、生物学的事実を整合的に理解するには単なる顕微鏡以上のものが必要であることを指摘しました。
顕微鏡によって、我々は多くの刺激的な詳細を発見することができました。
この方法が内在している欠点は、事実の統一性と相互の関係性を見てとることができないということです。
Louis Bolkの「マクロスコープ」は、この統一性と相互関係を見いだすためのよりよい道具です。
マクロスコープとは、もちろん、我々の思考プロセスのことです。
マクロスコープを用いる技術のひとつは比較研究法です。
自然の異なる界を比較し、またそれぞれの住人の行動および彼らが従う法則を比較することにより、整合的な概観に到達する可能性が得られます。