Works in Progress: 星間戦争(11)2006年01月03日 17:48

ヒドラの出芽
2番目としては、性というものが存在するこの世界にあっては驚くべきことなのだが、火星人たちには性別というものがまったくなく、ゆえに彼らは男女の違いから生じる荒々しい情緒などとは無縁だったのだ。戦争中に地球上で火星人の幼弱個体が一匹生まれたことが今では明らかになっている。その個体は親に付着していたが、株分かれする百合根あるいは淡水産ポリプの幼生みたいに出芽しかけていた。

地球に住むすべての高等動物と同様に、人類においてかような増殖様式は絶えて久しい。しかしながらこの地球でも原始的な方法はこうだったのだ。下等動物の間では、あるいは脊椎動物のいとこにあたる尾索動物においてでさえ、ふたつの増殖形式は平行して行われている。だが、最終的には有性生殖がライバルの無性生殖を完全に下したのである。しかしながら火星における事態はまったく正反対であったらしい。
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(下巻第2章第18~19節:画像は http://www.dpo.uab.edu/~acnnnghm/BY255L/BY255L-Cnidaria.htm より拝借)

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_ CHORALIS - 2006年01月23日 14:55

火星人襲来よりもずっと以前に文章を書いていた、似非科学の領域では評判だったある空想的な作家が、人類の最終形態を予想してみせたことがあって、その姿が現実の火星人のようす