33年間の夏休み(21)2007年07月04日 21:04

昔からきみは時々奇妙な、ほとんど愚かしいといってもいいような行動を取ることがある。入寮した最初の1年間、洗濯機を一切使わずに洗濯物を手洗いしていたのもそのひとつじゃないだろうか。夏場だけならともかく、水しか出ない寮の洗面所で両手を真っ赤にしながら黙々と洗濯し続けたのはいったいなぜだったのだろう。洗濯機の順番待ちが面倒だったから? 洗濯機が泥とカビだらけで不潔に見えたから? 靴下や下着といった小物だけならともかく、布団カバーからシーツに至るまで手で洗っていたよね。シーツを洗うときなんか、洗面器に入りきらないものだから、ステンレスの流しにわざわざ水を張って洗ったものだった。

あれは一種の強迫行動だったから、きみ自身にも理由がわからなかったかも知れない。だが、何らかの意味はあったはずだ。その意味はこの文章をつづる中で次第に明らかになってくるのではないか…ぼくはそんな期待を抱いている。