アントロポゾフィー胎生学(6)2011年02月01日 05:14

1.序論 人間の胎児の初期発生

胚の発育においては、いくつかの異なった発達上の相を分かつことができます。
すべての生物学的な発達過程と同様、胎児の発達は時間内のプロセスであって、目に見える段階が時間内の連続したプロセスとして現れます。
段階や相とは、実際には観察者が人為的に作り出したものです。
従って、観察者はさまざまな相を区別する際に使用する基準に気づいていなければなりません。
例えば我々が発育する植物を見るとは、それが形態学的および機能的な変化によって形作られる特定の時間的パターンに従いながら生長していくのを見ることができます。
我々は、こうした形態学的および機能的な変化に基いてその相を分類します。
「相」という用語は、特定のプロセスが起こる時期を定義し、記述するために用いられます。
例えば植物において、我々は発芽、発育および開花を明らかに異なるプロセスとして識別することができ、それぞれの相に固有の用語があてられます。
各プロセス(発芽、発育と開花)は植物発生の特定の様相を示しており、特定の植物性産物または要素をもたらします。
しかしながら、こうした相の区別は単なる観察の結果ではなく、人間精神における概念化の過程の中にそれぞれと対応するものがあるのです:
すなわち、我々は一群の現象が特定のプロセスに属していることを認めます。
すでに述べたプロセスにおける変化によって、発生がどの相にあるかが決定されます、そして、いくつかの段階に属する目に見える現象が、より大きな発達上の相に属しているとみなされることがあります。
従って、ひとつの相がいろいろな段階にまたがる可能性があります。
ここにおいて我々は、ゲーテ的な現象学を科学的なアプローチとして用いて、胎生学におけるさまざまな相の特徴的な所見を見いだそうと努めます。
異なる生物の形態学および生物学的現象の調査および比較は、それらの関係の特徴が何か、彼らの共通点は何か、また、彼らがどのように異なっているかを知るために行われます。
-----------------------------------------------------------
ううむ、難解だ…

アントロポゾフィー胎生学(7)2011年02月02日 11:49

さまざまな生物の発生を比較することによって、異なる生物における同一のプロセスとみなしうるものを見いだすことが可能になります。
このようにして我々は形態発生における一般的な法則と段階を認めることができます。
この方法は我々に、目に見える現象を決定しているものが何なのかを示してくれます。
あるプロセスに特定の名前、たとえば「細胞分化」、「器官形成」あるいは「プログラム細胞死」といった名称を付与する場合、我々は付加された概念上のフレームワークを使用していることに気づいていなければなりません。
個々の細胞の生涯は、「高次の」プロセスに組み込まれています;
それはたとえば原腸形成といった、重畳する高次プロセスの現れとして発生してくるものに固有な法則に従うのです。
ゲーテ的な科学者にとっては、対象にアプローチする方法を意識していることも重要です。
分析科学において、科学者は「傍観者」の姿勢をとります。
ゲーテ的科学においては、科学者は参加型姿勢で働くのです。
彼は、形態学的なプロセスの中で進行していることに、意識的に参加します。

アントロポゾフィー胎生学(8)2011年02月05日 05:06

この種の意識によって科学者は、形態学的なプロセスの中で作用している運動とジェスチャーを認めることが可能になります。
分析と帰納という通常の科学的アプローチとは対照的に、現象とその脈絡という「全体」を取り入れるという意味において、我々はゲーテ的科学において知見を広げることができるでしょう。
注!
ゲーテ的科学が鉱物、植物、動物と人間との間に特徴的な形態学的差異を見いだしていることには注意しなくてはなりません。
これは、肉眼的な観点が採択されているという事実に起因しています。
その科学的なアプローチにおいて、ゲーテは原型的な現象を探していました。
この原型的な現象は、特定の形態学的相の動的な性質を表すものです。
我々が分子生物学の観点に立つときには、鉱物、植物、動物と人間の形態学的な違いが我々の意識から消え去ってしまうことは明らかです。
科学的な見地からは、これらふたつの観点のどちらかを選ばなければならないということはありません。
どちらの観点を選ぶかは科学者の自由であるということは強調されねばなりません。
ゲーテ主義の領域では両方の観点の統合が可能なのです。